まえがき
第一章 遺伝子組換え食品誕生の科学
作物改良の歴史と遺伝子組換え技術の誕生・・・大澤勝次
はじめに
他の生物と人類との分水嶺,それが農耕だった
作物の改良は長い年月をかけた遺伝子DNAの組換え作業だった
「遺伝の法則」の発見によって作物の改良は科学になった
地球上の先輩作物,バクテリアが植物への遺伝子組換え技術を教えた
おわりに
●コラム 「遺伝子組換えは自然の摂理に反している」か?
遺伝子DNAと遺伝子組換えの仕組み・・・田中宥司・番 保徳
はじめに
DNAと遺伝子
DNAは細胞の核に存在する
遺伝子の本体はDNA
DNAの2重らせん構造
染色体とDNA,そして遺伝子DNA
DNAのする仕事
遺伝子DNAからタンパク質へ
遺伝子組換えの仕組み
遺伝子の運び屋(ベクター)
DNAを切る「制限酵素」とDNAをつなぐ「連結酵素」
おわりに
●コラム 「遺伝子組換えは種の壁を越えた新しい生物を生む技術」か?
第二章 素顔の遺伝子組換え食品
日持ちのよいトマト・・・田中宥司
はじめに
トマト果実の成熟過程
植物の遺伝子の働きを抑える技術の開発
アンチセンス技術
コ・サプレッションによる遺伝子発現の抑制
日持ちのよいトマトのメリット
遺伝子組換えトマトの作り方
アグロバクテリウムとバイナリーベクター
遺伝子導入植物体の作出
安全性
おわりに
●コラム 「遺伝子がどこに入るかわからないから危険」か?
除草剤の影響を受けないダイズ・・・與語靖洋
はじめに
除草剤はどの程度毒か?
除草剤の選択性とは?
除草剤耐性作物の歴史
どうして遺伝子組換えダイズは除草剤の影響を受けないのか?
グリホサート以外の除草剤耐性作物
除草剤を使いすぎるようにならないか?
除草剤の影響を受けないダイズが米国で広く使われる理由
除草剤の影響を受けないダイズの問題点
おわりに
●コラム 「遺伝子組換え技術の基本特許は欧米に押さえられているからナンセンス」か?
害虫に強いトウモロコシ・・・河原畑 勇
はじめに
トウモロコシの起源
トウモロコシの主要な害虫
なぜ害虫に強いトウモロコシが必要か
新しい害虫抵抗性作物の育成と登録
Btトウモロコシによるヨーロッパアワノメイガの防除効果
Btトウモロコシの生物学的安全性
Btトウモロコシと抵抗性害虫
おわりに
●コラム 「遺伝子組換え作物はこれまでの作物と本質的に異なる」か?
雄性不稔にしたナタネ・・・釘貫靖久
はじめに
なぜ雄性不稔ナタネなのか
雑種強勢を利用したF1品種育成の試み
細胞質雄性不稔も万能じゃない
花粉を作らない仕組みは?
雄性不稔にする遺伝子
稔性を回復させる遺伝子
効率化したF1雑種の育成
遺伝子組換えナタネは安全なの?
人間が遺伝子を操作してよいのだろうか?
新しい生物が生態系を乱し,人間を脅かすようになるのでは?
食べて安全なのだろうか?
おわりに
●コラム 「虫が食べて死ぬタンパク質は安全なはずがない」か?
ウイルス病に強いパパイア・・・田部井 豊
はじめに
PRSV抵抗性パパイアの作出
組換えパパイアのPRSV抵抗性
米国農務省・動植物健康検疫局(APHIS)による安全性評価
導入された植物病原菌由来のDNAが植物病原性の危険をもたない理由
ウイルスの外被タンパク質遺伝子の組換え
シナジー(Synergy)に関する考察
組換えパパイアとパパイア近縁種との交雑による雑草化に関する懸念
組換えパパイアの食品としての安全性評価
組換えパパイアの利用状況とわが国における安全性確認
●コラム 「遺伝子組換え作物では予測不可能な有害物質の誕生する可能性がある」か?
開発中の遺伝子組換え食品・・・田部井 豊
商品化された組換え作物と栽培の現状
開発されつつある組換え作物
耐病性
害虫抵抗性
除草剤の影響を受けない作物
成分改変
今後の展望
●コラム 「除草剤耐性遺伝子組換え作物の栽培により,除草剤耐性の雑草が多くなり,除草剤の使用量が増える」か?
第三章 遺伝子組換え食品の安全性
安全性評価の歴史
はじめに
組換え体の安全性評価の歩み
産業利用における安全性評価
市場化に向けた国際協力の動向
わが国の組換え作物の安全性評価システム
パブリックアクセプタンス(社会的受容)の形成
●コラム 「耐虫性遺伝子によってガやチョウが極端に減り,生態系が壊れる」か?
食品としての安全性評価・・・一色賢司
はじめに
食品の安全性とは
食性病害
食品としての安全性評価
組換え食品安全性評価指針の概要
安全性評価事例
●コラム 「遺伝子組換え作物の作る花粉によって遺伝子か拡散し,生態系のシステムが壊れる」か?
海外における遺伝子組換え食品利用者の声・・・宮田 満
はじめに
欧州の状況
スイス
オランダ
フランス
イギリス
米国の状況
その他の地域の状況
おわりに
●コラム 「遺伝子組換え作物が普及することによって,食糧が一部の大企業に独占され,農業支配が起こる」か?
海外における遺伝子組換え作物利用者の声・・・村岡真一郎
はじめに
ダイズ農家には「雑草管理」が楽と好評
種子価格が高くても,結局は農家にはコスト削減
害虫抵抗性タイプも好評,「でも無理には使わない」
米国の関心は次世代の高付加価値品種に移行
消費者のメリットを高め「食」全体の価値を高める時代へ
安全性の議論は終わった話,日欧もやがては落ち着く
●コラム 「遺伝子組換え食品では慢性毒性試験が実施されていないから安全とは言えない」か?
第四章 二一世紀の遺伝子組換え技術
役に立つ遺伝子を見つける・・・矢野昌裕
はじめに
メンデルが見いだした遺伝子からDNAへ
イネのゲノム研究
遺伝地図を利用して遺伝子を取り出す
遺伝子を壊して調べる
植物の遺伝子の構造は似ている
おわりに
●コラム 「抗生物質マーカーによって抗生物質が効かない身体になってしまう」か?
植物で働く遺伝子を設計する・・・宇垣正志
はじめに
何のために遺伝子を設計・改変するのか
遺伝子のつくりと働き
動物の遺伝子を植物で働かせるには
遺伝子の働く場所をコントロールするには
おわりに
●コラム 「実質的同等性の概念は違うものを同等と見なすまやかしをしている」か?
植物への遺伝子導入法・・・市川裕章
はじめに
直接導入法
化学物質の助けを借りる方法
電気の助けを借りる方法
「遺伝子銃」を用いる方法(パーティクルガン法)
間接導入法
微生物の助けを借りる方法
その他のユニークな手法
遺伝子ターゲッティング---二一世紀の植物遺伝子組換え技術
「遺伝子ターゲッティング」って何?
遺伝子ターゲッティングで何ができるの?
遺伝子ターゲッティング法の長所と短所
おわりに
●コラム 「いつも食べているスナック菓子はあぶない」か?
植物と病原菌の知恵くらべ・・・西澤洋子
はじめに
病原菌から身を守る仕組み
病原菌のあの手この手
遺伝子を操作して植物に味方する
出番を待つ二一世紀の遺伝子組換え植物たち・・・大澤勝次
はじめに
病原菌に強く,不良な環境に耐えられるたくましい作物の開発
キチナーゼ遺伝子などを導入して病気に強い作物が誕生する
コムギのもつ遺伝子を活用して寒さに強い作物が誕生する
砂漠の乾燥に耐える作物や海の塩分に耐える作物が誕生する
C4光合成関連遺伝子を活用した食糧生産能力の高い作物が誕生する
健康増進に有利な,機能性に富む優れた食品が開発される
食品アレルギーの人に喜ばれる低アレルギー食品が誕生する
コレステロールが心配な人に喜ばれる低コレステロールの食品が誕生する
がんの予防に効果的な食品が誕生する
医薬品を効率的に生産する作物が誕生する
有害物質分解植物,生分解プラスチック生産植物など,環境浄化能力の高い作物の開発
ダイオキシンなどを分解する植物が誕生する
自然に分解されるプラスチックを生産する植物が誕生する
環境浄化能を高めた植物が誕生する
おわりに
エピローグ
執筆者・責任編集者紹介
|